労働保険特別会計の無駄遣いを正す!!

 「政府は10日、独立行政法人改革の焦点となっていた雇用・能力開発機構を廃止することを決めた。甘利明行政改革担当相と舛添要一厚生労働相が同日会談し、厚労省所管の同機構を職業訓練業務に特化させた上で、同省所管の独法、高齢・障害者雇用支援機構に統合することで一致。廃止時期などについては今後詰める。」とのことである。
 また、税金の無駄遣いとしてマスコミにも取り上げられていた「私のしごと館」は民間に処分されることになった。
 「私のしごと館」は、独立行政法人雇用・能力開発機構が、2427にも上る福祉施設を売却する一方で、2003年10月に「若者たちにやりがいのある仕事をみつけてもらう」目的でオープンした。この建設費は580億円で、雇用保険料から全額支出されている。年間15億円の運営費は入場料で一部を、雇用保険料で大部分を賄うことになる。2006年の自己収入は1億5000万円であるから、年に14億程度が雇用保険の積立金(雇用保険制度の能力開発事業)から注ぎ込まれることになる。この財源は労働保険特別会計から厚生労働省の裁量で引き出され、一度も国会に諮られたことはなかったことは驚きである。
 2003年4月から失業手当の給付日数が減らされるなど、働くものにとって厳しい法改正があった状況下にもかかわらず、このような「ハコもの事業」が復活している。
 特殊法人であった「雇用促進事業団(独立行政法人雇用・能力開発機構に移行)」は過去において、「勤労者福祉事業」の名の下、厚生労働省が自ら所管する財源の「国民の資産」を無神経に浪費し続け、ついには維持さえできずに施設の全売却・譲渡に至った破局の歴史を持つ。
同事業は、体育、研修、レクリエーション、文化活動用の施設を整備するもので、1961年度から建設を始め、事業破綻が続出する2000年度まで建設し続けた。財源は、事業主(企業)が負担する雇用保険3事業(雇用安定、能力開発、雇用福祉事業)の積立金である。積立金は労働保険特別会計の労災勘定7.8兆円、雇用勘定3.6兆円にも上っている。別称「埋蔵金」といわれる、この増え続ける積立金をハコモノ事業に投じているわけである。
 施設の種類は「スパウザ小田原」、「中野サンプラザ」、「いこいの村」などが代表的であるが、特に455億円を投じて建てた豪華施設・スパウザ小田原を8億5000万円の超安値で小田原市に売却し、また川越市内の武道館(2023平方メートル)をわずか1050円で川越市に売り払ったときには、世論の大きな反発を呼んだ。その後、スパウザ小田原は小田原市がヒルトンに賃貸して営業を続けている。
 労働保険特別会計の労災勘定7.8兆円、雇用勘定3.6兆円は、事業主から保険料として徴収したものが過剰に貯めこまれていたわけであり、本来は貯えた剰余金をどうやって国民に還元するかを考えるべきである。積みあがった資金を保険以外の用途に使うことは本来の趣旨に反するものであり論外である。
 積みあがった剰余金は国民に還元すべきで、まず一般会計からの労働保険特別会計への繰り入れを中止する。次に労働保険、雇用保険の料率を下げて、剰余金を取り崩しながらこの仕組みを運営する。政府が提出した第二次補正予算案に景気対策として、雇用保険の料率の引き下げを提案していたが、的を得た政策かと思われる。
 ただ、危惧すべき事態は、雇用・能力開発機構を廃止したとしても、同機構の大部分の機能は存続し、別組織への「横滑り」に終わる可能性があるということである。必要なのは、実態のともなった行政改革である。