社会保障番号制と納税者番号制の導入

 昨年11月、政府の社会保障国民会議は横断的社会保障番号の導入案を公表した。これからの日本の将来を考えれば、年金や医療介護サービスの給付と負担を管理するシステムの構築がどうしても必要であることに異論はない。
 また民主党でも昨年暮れに公表した「税制抜本改革アクションプログラム」において社会保障の給付と納税に双方利用できる番号制度の早急な導入を提唱している。内容については検討の最中ということであるが、納税についてはいわゆる納税者番号制を念頭においているようである。
 納税者番号制とは、納税者に広く番号を付与し、各種の取引に際して納税者が取引の相手方に番号を告知するとともに、納税申告書及び取引の相手方が税務当局に提出すべき法定資料に番号を記載した情報申告書の提出を義務づけることによって、納税者に関する課税資料に番号をキーとしてマッチングして整理・管理する制度である。
 つまり現在の状況は、社会保障番号制を構築するにあたり、負担と給付を一元的に管理するために納税者番号制にリンクするシステムを検討しているということである。
 国民に番号を振る場合、最も注意が必要なのはプライバシーの侵害や個人情報保護である。少なくとも個人情報へ自らアクセスする権利と訂正権を最低限保障すべきである。また制度構築にあたり設備コストとランニングコストについては責任ある試算が絶対に必要である。とくに納税者番号制度については、番号をどのような取引に利用するかによって大きく変わってくる。例えば個人における事業所得や法人所得までも範疇に加えることはコストのみならず膨大なデータの集積となり混乱を招くだろう。とすると資産性所得の補足に使われることとなるが、これとて個人資産については、より厳格な情報管理が必要であるには言うまでもない。いずれにしても政府には導入に踏み切るにあたり国民が納得する説明が必須となる。とくに今日のように政府と国民の信頼が揺らいでいる現状では、闇雲に導入論を先行させるべきではないのではないか。